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「単純な事務ミス」

 がん検診の結果「要精密検査」と通知すべきところ、誤って「異常なし」として通知したために処置が遅れて、その方が亡くなったというニュースが報道されています。
原因は「単純な事務ミス」で、マニュアルには「2人で読み合わせをする」と記載されているが、実際には一人が作業し、だれもチェックしていなかったとのことです。
 事務ミスの結果が人命に及ぶということは少なく、これまで私が知る限りでは、学校給食のアレルギー情報管理ミス、スーパーマーケット駐車場のスロープ構造計算ミスくらいでしたが、今回また不幸な事例がひとつ増えてしまいました。
 
 事務ミスは一見「単純」であるため、再発防止は簡単にすまされることが多いものです。
今回もその自治体では「再発防止を徹底する」とのことですが、「受診結果をそのままコピーして送付」「5年以上同じ部署に所属させない」という報道だけでは安心できなと強く感じます。
高性能な医療機器で優秀な医師が判断しても、結果の通知を間違えれば尊い人命を失うことになります。
金融機関でも、どんなに素晴らしい資産運用をしても、その結果報告を間違えばお客さまが損失を被ることになりかねません。
 この「最後の砦」はどうしても「簡単な仕事」とみなされて十分な組立や資源配分がされないために重大な問題を生むことがあるのです。
分野は異なりますが、いい製品、いいサービスも最後の「物流」がネックになるのと似ていると感じます。
サービスを提供する全体のプロセスを描き、そのひとつの機能として「事務」を位置付ける必要があります。
それをふまえて、必要な手順の組み立て、人の配置、運営の管理をすることで、初めてそのサービスが完結するのです。
 今回の不幸な事件の原因は決して「単純」ではなく、事業プロセスの管理ができていないという根深い問題があると考えられます。
二度と同じことが起きぬよう、是非、自治体、医療機関において、あらためてこの「事務」と呼ばれる仕事の重要性を認識し、改善に取り組んでいただきたいと思います。

 

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