日本語は「お」や「ご」を言葉の頭に付けることにより、丁寧、尊敬、謙譲を表現できます。しかし、真剣に考えると悩ましい例もあると感じています。例えば、「お風呂」や「お庭」は家屋に付属するものを丁寧に表現したものです。そして「お二階」もそれと同じと考えられますが、「お三階」という言い方はあまり聞きませんし、違和感があります。でも、これを「なぜ?」と問い直すと、答えられる人は少ないのではないでしょうか?
ビジネスの場面ではどうでしょうか?社外から入った情報を、社内の人に伝える場合は「A社から以下の情報が入りましたのでご連絡します。」のように「ご連絡」や「ご報告」が使われます。これは「連絡」や「報告」の相手を敬う、または自分を謙遜する趣旨と考えられます。
かつて私が仕事をしていた職場では、いつのころからか「A社から以下の情報が入りましたのでご連携します。」というように、「ご連携」という使い方が始まり私は違和感を覚えた記憶があります。「連携」は相互作用的な意味を含むので、「ご」が伝達側の謙譲だけではすまないからです。
最近、「A社から以下の情報が入りましたので共有させていただきます。」というように「共有」を使う場面が増えてきたように感じます。これはSNSの浸透と関係があると思われます。「共有」も、相互作用的な要素がありますが、いずれ「ご連携」と同じように「ご共有」という使い方も出てくるのでは?と感じますが、いかがでしょうか?
#メール #敬語
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通りすがり (水曜日, 12 2月 2020 09:55)
職場で「ご共有いただきありがとうございます。」が蔓延していてすごい気持ちが悪いですー!
通りすがり (木曜日, 10 6月 2021 16:27)
「ご共有」が気持ち悪くて、何かしら事例がないかと Google先生に聞いてみて、ここにたどり着きました。
通りすがり (月曜日, 25 10月 2021 16:25)
「ご共有」気持ち悪いですね。でも標準的な使い方になっていくのかも・・・
通りすがり (水曜日, 15 2月 2023 11:34)
金融業に転職したものです。社内メールで頻繁に「ご連携」が使われていて、未だに馴染めません。(私は使わないようにしています)
業界用語なんでしょうかね。
宮崎敬 (木曜日, 16 2月 2023 15:41)
コメントありがとうございます。
「連携」や「共有」に「ご」を付けた場合の用法や語感の問題のほかに、そもそも何を期待しているのかが不明確、という戸惑いがありました。特に連携は辞書を引くと「協力して何かを行うこと」とあります。何をなすべきかは自分で考えて!ということになりますね。
かわねら (金曜日, 14 4月 2023 18:55)
「お三階」という言い方はあまり聞きませんし、違和感があります。でも、これを「なぜ?」と問い直すと、答えられる人は少ないのではないでしょうか?・・・(^ω^)なぜ!
宮﨑敬 (土曜日, 15 4月 2023 12:52)
コメントありがとうございます。昔は日本に3階以上の建物がなかったので「お三階」と言わない、という説も聞いたことがあります。「おビールいかがですか?」とは言いますが「おウイスキーいかがでか?」とは言わないですね。これも不思議です。
29番 (木曜日, 08 2月 2024 09:50)
このような情報を探していました。
とても共感しました。
宮﨑敬 (木曜日, 08 2月 2024 12:21)
29番さん、コメントありがとうございます。この記事は4年前に書いたものですが、その後「ご共有」という使い方が実際に増えているようです。言葉は時代とともに変化するということなのでしょうね。
通りすがり (金曜日, 05 4月 2024 19:30)
主に若手の方が使用されているイメージが強いです。<ご共有>は正直気持ち悪いので、目上の方に使用するのは避けた方が良いのではと思っています。
宮﨑 敬 (月曜日, 08 4月 2024 13:00)
通りすがりさん、コメントありがとうございます。
言葉の感覚は年代によっても異なるので、ご指摘のとおりだと思います。そして、この感覚のギャップも時間の経過とともに微妙に変化するのでしょう。
慣れない人 (木曜日, 25 4月 2024 11:13)
違和感、ものすごくわかります。今朝、お客様(若い方)からいただいたメールに「ご連携」とあって、思わず調べてこちらへたどり着きました。
私は未だに話し言葉の「よろしかったですか?」なども気持ち悪いです。同世代も使うようになってきましたが。
若い世代の方は、目上の方に失礼があってはいけないと思われて、過剰に丁寧に言おうとしているような気がします。
宮﨑敬 (金曜日, 26 4月 2024 13:02)
「慣れない人」さん、コメントありがとうございます。言葉は時代の移り変わりとともに変化するものですが、世代によって許容度が異なるのは当然ですね。「食べれる」はもう慣れましたが「こちらお砂糖になります。」と言われると、つい「その前は何だったんですか?」と聞いてみたくなります(笑)。
くーさん (金曜日, 23 8月 2024 15:59)
私も「ご連携」「ご共有」に違和感を覚えており、確認のためネット検索していてたどり着きました。
敬語慣れしていない新卒者や若手が、良くわからずに「ご」や「お」を付ける傾向にあるので、気づいたところで、やんわり訂正しています。
周囲(上司や先輩)が訂正しないため、誤認したままになっていることが多いようです。
美しい日本語は、これからも残していきたいです。
宮﨑 敬 (月曜日, 26 8月 2024 15:45)
くーさん、コメントいただきありがとうございます。
この記事を書いた5年前には「ご共有」という言葉遣いに関してはかすかな予感しかありませんでしたが、今や「違和感」の堤防を打ち壊してどんどん氾濫しているようですね。