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破壊工作分析?!

 「故障・不具合対策の決め手」※という本を読んでいます。「TRIZ(トリーズ)」という、旧ソ連の学者が中心となって開発した分析手法で、私は当初事故再発防止に使えるものとして関心を持ちましたが、最近、「発見、発明にも使える」と聞いて改めて興味を持った次第です。

 この手法は「破壊工作分析」とも呼ばれているそうです。この名称の印象はいかにも「ソ連共産党」という感じがしますが、実は事故や故障などの不具合を防ぐためには、「どうしたら防げるか?」の代わりに、敢て「どうしたらその問題を引き起こせるか?」と逆転の発想をすることに特徴があります。そして、例えば「火事」も「燃焼」ととらえることにより客観的な現象として考えることができるとしています。

 確かに私たちは「事故」とか「トラブル」を考えるとき、無意識のうちに「なんとかして防がねば!」という強迫観念のようなものに縛られ、特に自分自身がその当事者であった場合には罪悪感に襲われてシュリンクした状態になります。人間は生来、ポジティブな精神状態のときに最も能力を発揮しやすいと言われています。したがって、うなだれた状態や怯えた気持ちで考えたのでは、ベストの結果は望めません。そう考えると、この「破壊工作分析」は理にかなった、素晴らしいアプローチと言えそうです。

 ただし、主に製造業を対象として発達した手法であることから、オフィス業務で活用するためにはいくつかの工夫や具体例の積み重ねが必要です。「この伝票全部を間違えるためにはどうしたらいいだろう?」というブレストをみんなで元気よくやったら何か新しいものが見えてくるかもしれません。また、このような発想でゲーム感覚の研修ができたら面白いとも感じます。

 

※スヴェトラーナ・ヴィスネポルスキー著、黒澤愼輔訳「故障・不具合対策の決め手 I-TRIZによる原因分析・リスク管理」日刊工業新聞社

 

#事務ミス #事故防止 #TRIZ