新型コロナウィルスの非常事態宣言が解除され、通勤を再開した方も多いと思います。
感染の拡大がこのまま収まる保証はないため、今回の経験を踏まえて、公私ともに今後の状況に備える必要があります。
6月21日付日本経済新聞に「在宅の生産性向上探る 民間調査、7割が『効率低下』 」という記事が掲載されています。
現在、私たちは今後の感染拡大防止、さらには育児や介護との両立を目指す在宅勤務のメリットを活かして生産性を維持・向上する取り組みの入口が立たされています。
たしかに、本年2月以降急遽在宅勤務を余儀なくされたために、急激な変化に伴う歪が生じたことは間違いありません。
最も影響が大きいと考えられるのは、在宅勤務用のパソコン等のインフラ配備が間に合わなかったということでしょう。
もともと昨年のウインドウズ7のサポート終了に伴いパソコン需要が急増していたところに、在宅勤務と在宅学習の特需が覆いかぶさったことになります。
また、会社が持っているシステムへのアクセスのセキュリティ問題などもインフラ整備の負担を増す原因となっています。
しかし、これらについては、今後ある程度の時間を経ながらも、いずれ解消されると見込めます。
同様に、「会社に行かないと書類が見られない」という問題も、クラウド化を進めることによって解決可能です。
また、コミュニケーションが大きく制約を受けることも大きな影響を与えていますが、チャット、電話、ビデオ会議をどのように使い分けるか、という工夫でまだ改善の余地がありそうです。
この記事では「インフラ整備だけでは不十分で、働き方そのものの変革が必要」と指摘されており、まさに同感です。
特に仕事の成果の評価方法については、人事制度、さらには法令のレベルでの改革が必須です。
早く、労働時間ではなく、仕事の成果(アウトカム)で評価できる仕組みをつくるべく、大胆な頭の切り替えが必要です。
さらに、私はもう一つ提案したいと思います。それは「業務プロセスの可視化と共有」です。
自分が今やっている仕事は、会社の業務全体に対してどのような意味をもっているのか、さらに具体的に、自分の仕事の前と後の工程では誰がどのような仕事を行っているのかなどについて常にクリアーにしておきたいものです。
これは、まず、仕事のクオリティを維持するために必要です。
トヨタでは「後工程はお客さま」と考えるそうです。
自分がやった仕事を後でだれかがチェックしてくれるだろうと考えるのと、自分がやった仕事は自分で責任を持つと考えるのでは出来栄えが違ってくるのは間違いなしです。
また、「これは急ぎ!」とか「これは特例ケース」などが舞い込んできた場合に、この「可視化と共有」がでいていれば、どこの誰と連携すべきかの判断もつけやすくなります。
このようなプロセスマネジメントが、生産性向上の基礎であり、またさらなる改善への第一歩なのです。
在宅勤務は現在さまざまな宿題を私たちに示していますが、一方で「移動時間が節約できる」「家事、育児と仕事を両立できる」などのメリットを実感している人も増えています。
インフラ整備、人事制度改革とならんで、是非、オフィスワークの大幅なレベルアップに取り組むチャンスと考えてはいかがでしょうか。
私は現在「これからのオフィスワークマネジメント(仮題)」という書籍の執筆に取り組んでおり、今年の秋の発刊を目指しています。
この中では、今日お伝えしたテーマに関しても具体的に触れたいと考えています。
乞うご期待!
#在宅勤務 #生産性 #プロセスマネジメント
コメントをお書きください