先日、日本経営工学会主催のオンラインセミナー「ウイズ・コロナ時代のオフィスワーク,その生産性定量評価手法の試み」で講演する機会をいただきました。
<問題意識>
冒頭、今回のテーマについての私の問題意識を以下のとおりお話しました。
1.残業削減のためには生産性向上が必須。
2.オフィスワークの生産性も共通の物差しで測れなければ管理できない(アンケートだけでは不十分)。
3.やるべきことを疎かにしてトラブル処理に追われていては生産性は上がらない。
オフィスワークの正体と課題
本題に入り、オフィスワークという仕事を「情報の加工と連携でサービスまたは成果物を提供する仕事」と定義した上で、そこから導き出されるマネジメント上の課題として、「業務の標準化」、「プロセスの可視化と共有」、「品質、生産性の評価と管理」の3つがあることを明らかにしました。
「働き方改革」が道半ばの状態で突如コロナ禍に突入にしたために、在宅勤務をはじめさまざまな課題が急浮上しましたが、これらは実はすでに存在していた上記の3つの課題の具体的な姿であり、今こそ、「やり残しの宿題」を片づけるいい機会なのです。一方、いまだに「在宅勤務で生産性は上がった?下がった?」の調査をすると、担当者と管理職の間に大きなギャップがみられることから、まず、オフィスワーク生産性を客観的に評価する方法を作る必要がある、と問題提起しました。
オフィスワーク生産性定量評価の試み
そして、これを解決するのための手法として、企業の損益計算書の「売上」を分子、「人件費等の経費」を分母として生産性を算出する考え方に立ち、売上増、経費減を実現するためにブレイクダウンした現場活動の実績を集積し、そこからマイナス要素を差し引いた成果を使ってマネジメント組織単位での生産性を定量的に評価する仕組みをご説明しました。
質疑応答と今後の取り組み
幸いなことに、講演後にはご参加のみなさまから、貴重なご意見、ご質問をたくさんいただくことができました。
「事務」は「後処理」ではなく、報告書などの「製品(または商品)」を作成する重要な仕事であることに共感するご意見をいだき、大変心強く感じた次第です。
また、「生産性」は経済学~工学までの広い領域で扱われる概念なので、研究を進めていくためには用語などの定義を明確にする必要があるとのありがたいご指摘もいただきました。
さらに、「業務標準化」の必要性、効果的な取り組み方に関するご質問もいくつかいただき、あらてめてオフィスワークにとって標準化が重要であると同時に難しい課題であるか感じた次第です。
現在、弊社ではこの提案手法の有効性、実用性をレベルアップすべく、手法の改良と実証の拡充に取り組んでおり、その一環として実務検証への協力先を募集中です。
最近では、ありがたいことに某大学研究室との連携のお話も進んでおり、仮想検証に関するご支援をいただける可能性も出てきました。
是非、この提案手法を経営と実務でご活用いただけるよう、研究開発を進めていく所存ですので、引き続きみなさまのご支援、ご協力をいただければ幸いです。
#ウイズ・コロナ #オフィスワーク #生産性 #在宅勤務 #働き方改革
コメントをお書きください